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「羆撃ち」読了(2009.12.23)
幼少の頃から父親のハンティングについて山の中を歩き、20歳で狩猟免許を取ってからは1人で、そしてフキという猟犬を育て上げてからは1人と1匹で、山の中で過ごし、ヒグマやエゾシカと対峙してきた著者の半生記。

あとがきを読んで、60歳を越えた現在になって、過去を振り返って書いたことが分かったけれど、その精緻な描写と説明に驚きます。
私も、沢登りなどで山の道なき藪の中を掻き分けて進むことはあるので、土の匂い、笹の葉のすれる音、鳥の鳴き声が妙に大きく聞こえる静けさ、などは実感として分かる分かる!って感じですが、一つ一つのエピソードを何十年も経った後から克明に書き表すことなんて、絶対に出来ません。
著者が深い経験を重ねてきている証なんでしょうね。

ハンターやマタギは究極のナチュラリストである、と以前聞いたことはあったけど、コクワの木があるのに匂いが「しない」事に気づくくだりでそれを再認識しました。
きっと、普通の登山者や自然好きの人は、コクワの匂いが「する」ことに気づいて、あぁ、実がなっているね・・・とは思うけれど、木があるのに匂いがしない。クマがそれを食べつくしているからだ。ってことにまではなかなか気づかないんじゃないかな。。。

また、猟犬を育てるにあたって、自分がそれに値する人間になって(成長して)から、としているあたりにも、動物や自然、山に対する謙虚な姿勢がよく現れていると感じました。

今まで、狩猟、山菜取り、釣り、というのは自然から「搾取」する行為に近いと思っていましたが、クマと同じ気持ちになりながら足跡を追う著者の姿勢からは搾取、という言葉は微塵も感じませんでした。
加えて、「羆撃ち」という言葉からはいい意味で期待を裏切られるような着実な文体も素敵でした。
現代の北海道に、素晴らしいハンターがいることに感動
2009.12.28 / Top↑
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