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梨木香歩「ピスタチオ」
フリーライターの女性、棚。
日本での生活部分では身近な自然描写が目を惹く。アオクビアヒル・・・?思わず調べてしまった。へぇ。
アフリカから帰ってきて野性を感じたくて飼った犬。十年くらい経って病気をする。
そんな時期にまた、人の縁と流れに引かれてアフリカへ行くことになり、不思議な旅をする。
アフリカの呪術や、内戦、知人の死の謎。
物語としてまとめられているのに、読後感としては取りとめのない詩的な印象もぬぐいきれない。

一番心に残った部分、メモ代わり。
人の世の現実な営みなど、誰がどう生きたか、ということを直感的に語ろうとするとき、大して重要なことではない。物語が真実なのだ。死者の納得できる物語こそが、きっと。その人の人生に降った雨滴や吹いた風を受け止めるだけの、深い襞を持った物語が。
死者は物語を抱いて眠る。

棚は帰国後、「ピスタチオ」という少年の出てくる物語を書く。

吉村昭「高熱隧道」再読
高熱隧道の舞台である黒部峡谷・下の廊下を歩く機会に再読。
泡雪崩の現地を改めて自分の目で確認。
それとこの作品の’労働者の覚醒’というベクトルを当時の時代背景と重ね合わせてみることは興味深いと>解説より

横山秀夫「第三の時効」
刑事課3班の間の確執や各刑事の色濃い人物像が印象的。
3事件が立体的に描かれていて「警察組織」とその「組織構成員」があぶりだされている。
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2012.10.05 / Top↑
『天下城』佐々木譲
【新潮社のサイトより】
信長はその男を守護神とした。日本一の城造りの数奇な運命。
我らの頼り、志賀城が落ちた。信濃での平穏な暮らしは武田軍に踏みにじられた――。その日こそが、戸波市郎太の原点となった。若者は軍師の弟子となり、戦国乱世に遍歴を続けた。だが師の逝去により、その道を絶たれてしまう。運命は、彼を名高き近江の石積み、穴太(あのう)衆のもとへ導いたのだった。鍛えあげた戦略眼と最高峰の技術を受け継いだ男は、やがて、日本一の城造りとなる。

天下城
三度目の正直で読了。なぜか読み始めるたびに時間のない生活が襲ってきて、中断、を余儀なくされていたのだけど、結果的には足掛け3年、上巻は三度も読み返せて、じっくり味わえた感がある。
石積み職人を基軸にした戦国小説。日本史には疎い私だけれど、職業人としての主人公に深く共感しながら読み進めた。
信長に、これから攻める先の城の造りを訪ねられ(彼が過去に石積みで関わっているので)首を賭けて秘密を守るところや、穴太の親方の実の息子との仕事に対する姿勢や人間性の対比、幼い頃に生き別れとなった従姉妹・苗とのやり取りなど市郎太の性格や生き様に何度も目頭が熱くなってしまうのでした。
安土城を見ることはできないけれど、今後、お城の石積みをみたらスリスリしてしまうこと間違いなし(笑)
穴太積み、ってググっても画像がいくつか出てくるけれど、いつかそれと分かるものを見に旅した~い

『獅子の城塞』(小説新潮2012年2月号から連載開始)第1回 佐々木譲
こちらは「天下城」の後日談、というか、主人公の次男・次郎左が西洋式の石積みを学んで来い、という信長の命を受けて天正遣欧使節と共にヨーロッパへ渡る話。実はこの連載が始まるのにタイミングを合わせて「天下城」を読了したのでした読書って気持ちの上でのトリップだと思うのだけど、その世界にどれだけ深く浸れるかどうかが大きな鍵だし・・・
ま、手ぶらの外出中に読んでしまったため、浸りすぎてグスグス洟をすすっていたのはご愛嬌ってことで
第1回は次郎左が安土から堺を経て長崎を出航するところまで。リアルな船旅描写、そして出発!ワクワク~
雑誌の連載を毎回楽しみに待つっていうのもいいかも


『司法記者』由良秀之
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少し前に(一部で?)話題になった、元検事で今は組織のコンプライアンス問題を主な活動対象とされている弁護士の郷原信郎さんが書いた小説。検察特捜部の実態をあぶりだしていると読んで差し支えないんだと思う。
想像に難くない面はあるけれど、あぁやっぱり、とこの世を憂う気持ちも頭をもたげてはくる。でも、読了すると、作者の組織に対する問題意識と表裏一体の愛情を感じる。暴露本の印象は薄く、読後感もよかったです。本業も多忙を極めるであろう郷原さん、強いモチベーションがあったんですね→【著者に聞きたい】由良秀之さん 『司法記者』
ウィキで見たら、元々は地質屋さんだったんだわぁ、素敵。

『虚像の砦』真山仁
虚像
今をときめく?現代作家の真山仁さんの本も普段面白く読んでいます。
自分自身、嫌いなTV業界の嘘作りを小説でもぜひ読んでみたいと思って手に取ったのだけど・・・
ニュース番組作りに携わるTV局の人間達の言動。。。フィクションだと分かっていても、あまりに気分悪くて閉じてしまいました。ま、最初からTVなんて信じてないし、観てないし、持ってないし。まぁ、いいかぁ~と(笑)
そんなわけでこれは読了せず。ごめんなさい!

『地層捜査』オール読物2010年10月~2011年4月 佐々木譲
新宿の荒木町という場所を舞台にした、ちょっと歴史テイストの入る警察もの。
殺人事件の時効撤廃(2010年3月)というタイムリーな事象をきっかけに古い殺人事件の再捜査が始まる。
題名が示す通りの地層を掘り返すような捜査。その土地が花街だったころの物語が地層の中に埋まっている。
地質好きとしてはググっときちゃいます(笑)
というのは半分冗談にしても、土地に染み付いた物語というのはたとえそれがフィクションであっても、愛情を持ってたどることができるので大好き。
しかも来週には荒木町のすぐ近く新宿三丁目にて、これを原作としたお芝居『荒木町ラプソディ -地層捜査-』が上演されるのです。
えへへ、当然、航空券はGET済帰省がてら、お芝居と、舞台になった荒木町を観に行ってきま~す

う~む、この2ヶ月はだいぶ偏った読書傾向だったかな
2012.01.25 / Top↑
待ち時間が多いと頁がすすみます(^^)
「プライド」真山仁
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新潮社のサイトで見て面白そうだと手にしてみた。初めて読む真山仁さんの本。
事業仕分け、医療、農業、賞味期限偽造etc. 現代の新聞記事の裏に隠されていてもおかしくないな、ありえるかも~と思わせるストーリーの短編集。
特に事業仕分けはまんま蓮●かと思うような女史がやり込められるシーンにスカっとしました(笑)
そして筆者の書きたい「プライド」;生き方に矜持を持つ、ってあとがきの言葉が心に響いた。
うう~ん、朱に交わって赤くなってちゃ、いかんよな。なんてね。
リアルタイムの面白さを実感。
と同時に、十年経ってこの本を読んだとして、笑い飛ばせるんだろうか・・・?と見知らぬ十年後を考えてしまった。
(蛇足*ちなみに矜持は正しくは「きょうじ」と読むのね。「きんじ」って読んでた衿って襟だよねぇ。。。?)

どこかの読書サイトで見つけておもしろそーと手に取った1冊、いや3冊。長かった~
「ガダラの豚」中島らも
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新興宗教?アフリカ呪術?超能力?アル中の大学教授とその家族、えげつないTV番組制作とか、、、モチーフにされているものは少しだけ非日常。
なんだかとんでもないことが次々起こる一大フィクション。
笑える。
ちょっとスプラッタなところは気持ち悪いけど、まぁ奇想天外でありながら決してファンタジーではないストーリーの面白さで帳消し。
こちらの世界とあちらの世界の中間を巨大セットにしてみました。というところかな。すごい本でした。
2011.09.04 / Top↑
ここのところ、沢のことばっかり書いている。
たまには本の話も・・・

7月29日発売の佐々木譲さんの道警シリーズ「密売人」
釧路・小樽・函館と離れた3箇所で起きた殺人事件。と、札幌でのちょっとした出来事。
描写もパラレルに進む。
当然、読者もその関連性が気になっているところに、おなじみ佐伯チームが紐を解いていく(いや、糸をつなげていく、のほうが適切かな)
なんちゃって、中身書いたらつまんないので、この暑い中、スキッとしたい人、読んでください。
登場人物が多いので、あまり細切れに読むと「えーっと」ってことになってしまいますが。(単に私の記憶力の問題?)
ぐいぐい引き込む文章に、あまりその心配も要らないかも。

北海道、主に札幌が舞台になっているので、札幌人としてはそういう楽しみもありますね。
最初に出てくる殺人の舞台なんて、あ、そこ、(スキーで)滑ったことあるし!この前友人も沢歩き行ったばかりだし!なぁんて、超・個人的なハナシで勝手に盛り上ったり。。。

それとラストがおしゃれだったな~

譲さんの小説はいつ読んでも心がフワっと温かくなるエッセンスが入っているところが好きです。
2011.08.10 / Top↑
津軽プチトリップの一番の目的は、本当は八甲田でも桜でもなくて↓コレだった。

先般、弘前劇場の長谷川さんの本
弘前劇場

を読了し、札幌公演を楽しみにしていたところだったのだけど、GWに太宰原作「津軽」を@津軽(青森)で上演するという。
本を出版された寿郎社の土肥さんにもお話を伺って、海を越えて観にいくことにした。


太宰を読んだのは、ご多分に漏れず中高時代だったと思う。
劇中でも、誰しも必ず一度は太宰の’はしか’にかかる、という台詞があった。
私は’はしか’のようにはならなかったけれど、仲の良い先輩は太宰フェチだったし、「太宰は饒舌すぎて嫌い」と公言する国語教師(今考えれば、よく言ったよなぁ・・・)に若干の敵意を感じていたことも否めない。
そんなわけで、船上のお供はもちろん小説「津軽」
・・・が、である。
読んでいるとなんだかこちらが恥ずかしくなるような赤裸々トークに、正直、「饒舌すぎて」と感じてしまう私。
私小説、という分類になるのだろうけど、心の動きを「あっちだ、こっちだ、いや、でもこうなんだ、、、」なんて書き綴ってあるのが恥ずかしくてしょうがない。
実際に旅をしている津軽の情景描写は良いけれど、太宰の心理描写には参ってしまった。トホホ・・・である。

お蔭でお芝居に入り込めるか若干の不安を抱えながらの観劇となったけれど、演劇「津軽」は素晴らしい!の一言に尽きる。
場内は撮影できないので、雰囲気はこちら⇒「まるごと青森」にて。

お芝居は、太宰本人の語る「津軽」と同時に、少年太宰(一輪車に乗った若い津軽美人が演じる)、「津軽」を辿る旅をする現代のライターの女性2名が同時並行で登場するオムニバス形式で進む。
時空を越えたやり取りもあるのだが、不思議と違和感はなく、よく混乱してしまう私でも大丈夫(笑)

そして村田雄浩さんの演じる太宰はちっとも饒舌ではなく、朴訥としたはにかみと、ほどよくオブラートに包まれた不安と安堵が入り混じり、愛すべき太宰だった。

出演されているほかの役者さんも皆、昔の津軽を髣髴とさせるのに充分な演技。特にクライマックスの太宰が育ての親(女中)たけ、と再会するシーン。淡い桜の花びらが舞う中でとつとつとたけが思い出を語る。たけを演じたのは地元の女優さんなのか、もしかしたら演劇界の人ではないのではないかと思うけれど、津軽弁の中に落ち着いた慈愛を感じさせる語りだった。津軽弁を解さない私でも、きっとそれが外国語であっても、あの花びらのような言葉の響きは観ている人にしみわたったんじゃないかなぁ~と思う。

休憩時間に、お芝居の中でも出てくる津軽料理を再現したお弁当が観客に配られるという仕掛けもなかなかオツ。
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ただ、お弁当が人数分なかなか届かず、休憩時間が押し、終演時間が押したのは、ギリギリのフェリーで帰らねばならない私にとってはハラハラもんだったのだけど(終演ダッシュ&タクシー飛ばし、まさに冷や汗&汗だくだ・笑)

おかしなもので、帰りのフェリーで読む小説の残り部分は、愛すべき太宰にすっかり入れ替わってしまっているのだから、人間の(いや、私の、かな?)感覚なんて単純なものだ。

そして、当初、一緒にお芝居を観にいこうかと話していた津軽っ子のTちゃんは、結局タイミングがずれて観ることは出来なかったのだけど、お父さん発案のドライブがまさに金木~竜飛と「津軽」をたどる旅だったという。


「津軽」のテーマはざっくり言ってしまえば「故郷」だろう。
東京に出た津島修治(=太宰)が旅をした津軽には、その土地で営みを続ける縁故者や繰り返す四季があることを、読むほうも一緒になって確認するのだけれど、一方で現代に生きる私にとって、そういう意味での「故郷」はもはや存在しないんだよなぁ・・・なんてことも考える。
核家族化して、親の仕事の都合で住み着いた街。
確かに私の故郷なのかもしれないけれど、親戚もいなければ、親の小さい頃の思い出さえない。とか。
まぁ、そんなことをグダグダ書き出すと終わらなくなってしまうので、止めておくけれど、私にとっての「故郷」ってなんなんだろう。きっと、同時代の多くの人の心に引っかかっている疑問符なのかもしれないなぁ。
2011.05.02 / Top↑
まとめ
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